電験三種に挑戦するにあたって、私は高校まではまともに勉強していたのもあって数学で詰まる場面はほとんどありませんでした。しかし三種の、科目ごとに分かれた参考書では「高校の数Ⅰ、数Ⅱ基礎問題レベルなら説明なくても良いよね?」という状態から説明が始まっている本が大半です。本当の初学者向け参考書は無いのか?という視点から、今回は私がついさっき近所の本屋で立ち読みした三種の入門本についてレビューしてみたいと思います。
想定:
ごく平均的な成績の高校1年生が、突如やる気を燃やして来年の電験受験を決意し「科目別の本を見てもさっぱりだったので、基礎となる数学力を身に着けたい」と、私に最初の一冊を聞いてきた。
難易度
1 義務教育までの算数、数学
2 高校生向け(数Ⅰ、数Ⅱ)の基礎的な理解
3 高校生向けの標準的な理解、理論の教科書を読み進められる程度
4 三種の過去問に挑戦できる程度
5 二種以上向け、オーバーワーク
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桜庭裕介の一冊目の教科書
(難易度 3)
おすすめ度 1
4科目の基礎が一冊になった本。初学者向けにしては難しく、二冊目以降の本としては簡単でターゲットがわからない。
電験三種 計算問題の基本&解法が面白いほどわかる本
難易度 4
おすすめ度 -
タイトルはいかにも初心者を見ていそうだが、実際には学習をある程度進めた人用の本。
みん欲し 電験三種 はじめの一歩
難易度 1~3
おすすめ度 4
かなり基礎的な部分から説明している。ただ、前半は電験の概要説明が主になるので数学本として役に立つ部分は見た目より少なめ。資金力に余裕ある大人はとりあえず買っても良いと思う。
難易度 1~4
おすすめ度 1
手に取らなくて良い。
完全マスター 電気数学
難易度 1~5
おすすめ度 2
完マスにしては珍しく基礎からの説明があるが、中学生向けの説明をした次ページの演習で突然三種過去問を出題してくるなどレベル差が激しい。また後半にはベクトルオペレータやラプラス変換等、二種向け数学のコーナーもあり完全に行き過ぎ。本の想定は...旧帝理系レベルを卒業して三種を受けずに一種、二種の合格を目指す人だろうか。居るのかそんなヤツ。
これだけ数学
難易度 1~3
おすすめ度 3
説明が丁寧。「これだけ」シリーズの中では最も購入に値する本かもしれない。
電験三種かんたん数学
難易度 1~3
おすすめ度 5
↑の「これだけ」と同じく石橋千尋氏が書いているが、こちらの方がわかりやすく感じた。純粋に三種の数学攻略と考えた場合、まずこの本を勧める。
工事士から電験第3種合格を決める 数学徹底攻略
難易度 2~4
おすすめ度 3
同様に石橋氏の本だが、上記の「かんたん数学」でいい。
電験三種 まずはここから!基礎力養成 計算ドリル
難易度 2~4
おすすめ度 2
最初は基礎の説明だが突然説明のレベルが急上昇。初学者目線で考えるとあまりにも難しすぎる。既に4科目の学習を進めている人が、補助的に使うための本。
第一種二種電気工事士のためのやさしい数学
難易度 1~2
おすすめ度 4
電工向けとあって、中学生でもわかるくらい説明が丁寧。それでいて内容をマスターすれば理論の教科書を読み始められるレベルに到達できるはず。
第二種電気工事士 電気数学の超入門教室
難易度 1~2
おすすめ度 4
こちらも電工向けだが、さらに低い目線で解説してくれている。その分内容も中学生までの数学+三角関数までといったところなので、読み終えたらもう一冊程度補完が必要になるかも。
徹底図解 基本からわかる電気数学
難易度 1~5
おすすめ度 3
その名の通り図が多く、ベクトルや三角関数について直感的な理解を助けてくれる。ただし完マスと同様、後半の部分は二種以上の想定になっている。資金に余裕がある人はとりあえず手元に置いても。
以下、11/15に追記。
ゼロから始める電験三種
難易度3~4
おすすめ度 2
本当にゼロから始めてこの内容を理解できるとしたら、その人は既に合格しているも同然です。
電験三種 合格への数学
難易度2~4
おすすめ度 3
まぁまぁ...スタンダード
「電験三種」ビギナーのための数学再入門
難易度1~2
おすすめ度 5
かな~りレベル下げたところからスタートしてくれているので、躓かずに進められるはず。本当に算数が怪しい人であれば助かる本。身についたら追加でもう一冊必要にはなるかも。
電験三種なるほど数学
難易度1~5
おすすめ度 1
買わなくてok
わかる! 解ける! 第二種電気工事士筆記試験計算問題 超入門
難易度 1~2
おすすめ度 4
電工レベルを復習するには最適のドリル。ベクトルや複素数についてはもう一歩か。
算数からはじめる入門電気数学
難易度 1~2
おすすめ度 5
本当に算数から怪しい人向けの本その2。四則演算からページを割いてしっかり解説。問題数が若干少ないか。
電気のための基礎数学
難易度 2~4
おすすめ度 2
決して内容が悪いわけではないが...範囲にズレがあり三種向けではない。
理工系電気電子数学再入門
難易度 3~4
おすすめ度 1
ちょ~っと入口のレベル高すぎかもしれないね。
本当に数学が苦手な人のための「電験数学入門」
難易度 1~?
私は立ち読みすらしてない(できない)ので本来評価することは憚られるのだが、この本を出している「誰でもわかる電験参考書研究会」さんの過去問解説は非常にわかりやすかった。きっと数学の本もキチンと作られているはず(信頼)。
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以上を踏まえて、私からは...
①電験三種かんたん数学
②みん欲し 電験三種 はじめの一歩
③「電験三種」ビギナーのための数学再入門
④算数からはじめる入門電気数学
の4冊をピックアップ。「電工レベルは流石に楽勝だ!」という人なら①だけで十分。「電験の概要も知りたい」人は②。「数学苦手なんです...」であれば③か④をオススメします。
立ち読みしただけなので一冊ごとの記述は薄めですが、おすすめ度が1or2のモノは初学者は止めておいた方がいいという点に関しては自信持ってます。
編者はおりこうな方が多いため、基礎の説明をちょちょいっとした後「ここまでは誰でもわかるでしょ?じゃあ、応用でこれくらい解いてみよっか^^」とばかりに三種の過去問をダイレクトにぶつけてくるような構成の本が多くてたまげました。そのような本は評価低めにしております。